こんにちは。
今日も晴れました。
暑くも寒くもないくらいの、ちょうど良い気候になりました。
桜もちらほらと咲いてきましたね。
『ストール・マンテラッシ』のシングルモンクについて書いています。
前回は歴史をチェックしました。
「スクエアトゥ」、「クラシコイタリア」、「ノーブル・ブルー」というキーワードがありましたね。
それでは靴を見ていきましょう!
SUTOR MANTELLASI ノルベジェーゼ スキンステッチ
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「らしさ」が感じられるような!?
見ていきましょう!
フォルム
スッと伸びたノーズは、長過ぎず短すぎず、スマートで現代的なバランスですね。
幅は十分にありそうです。
甲は低く抑えられているように見えますね。
ウエストの絞りが効いて、ヒールカップはしっかりスペースがありそうです。
どっしりとしたクラシックなイタリアスタイルを現代的にしたような印象ですね。
トゥ
トゥは小ぶりのスクエアトゥですね!
マンテラッシはスクエアトゥで有名なブランドですので、1つの完成形でしょうね。
スクエアトゥと言っても、エッジはあまり効かせておらず、丸みのある上品な印象のスクエアです。
ドレス感も感じられますね。
コバ
コバにも注目すると、そこそこ張り出していますね。
アッパーに近いところにはステッチが走っています。
商品説明を見ると、ノルベジェーゼ製法との事です。
ドレスシューズでノルベジェーゼ製法を流行らせたのはやはり『ステファノ ・ブランキーニ』ではないかと思われます。
ただし、ブランキーニのように目立たせるステッチでは無く、あまり目立たないようにコバと同色の糸が使われていますね。
とはいっても、やはりコバが張り出し、糸も太いので、目にはつきますが。
しかも細めの目付もしっかり施されています!
この点、ドレス感を狙うのであれば、コバの出ないマッケイ製法や、控えめなグッドイヤー製法を採用すると思われます。
そこを敢えてノルベジェーゼ製法にしたのは、技術で魅せる事を狙ったのではないでしょうかね!?
というのは、もう1箇所、技術を魅せるデザインがあるので!
スキンステッチ
ヴァンプをよく見ると・・・
内側と外側の羽根の付け根からそれぞれトゥへ向かって、革が畝って線のようになっているのが見えますよね!!?
スキンステッチです!
まるでUチップのようですが、トゥのところは繋がっていません。
いや、そもそもサイドの革とヴァンプの革というように分かれてはおらず、一枚の革です。
つまり、プレーントゥにスキンステッチを施しているのです。
何のために?
装飾のためでしょうね!!
それも、手間隙をかけた職人の手仕事による贅沢な装飾です!!
スキンステッチというと、『エドワードグリーン』の「DOVER」で有名になりましたよね。
イギリスの既製靴ブランドですと他には『ジョンロブ』くらいでしょうか。
かなり限られた、超高級靴クラスにしか見られないディテールです。
そんなスキンステッチも、イタリア靴ブランドとなると見られる機会はもう少し多いように思います。
それは職人の手仕事を守る比較的小規模な工房が残っているからかもしれませんね。
上で取り上げたノルベジェーゼ製法もそうですよね。
「クラシコ・イタリア」というのはまさにそうした職人仕事を誇りとするスタイルでもあるように思います。
カーフ
柔らかそうで、しなやかさが伝わってくるカーフですね。
色はダークブラウンです。
派手なムラはありませんが、ナチュラルな濃淡が感じられる色味ですね。
質感や色味からして、イタリア靴らしいカーフだと思います。
横顔
クォーターの革の切り返しがあります。
ダービー(外羽根)をベースにしたシングルモンクですね。
淵はダブルステッチが施されています。
因みに、トップラインやタンの縁にもダブルステッチが施されていますね。
羽根はVチップのような角度がつき、2ホール分くらいのコンパクトなデザインです。
羽根の付け根からソールへのカットラインは、ヒールの手前までカーブを描いています。
これまで見てきたシングルモンクでは、羽根から一直線や、「く」の字型といった、ミニマムでややカジュアルな雰囲気のカットラインが多かったので、久しぶりな感じがします。(笑)
やはりカーブを描いているとエレガントな感じがします。
スマートなノーズ長で高さも抑えたドレス感のあるフォルムとの相性も良いですね!
ストラップ、バックル
ストラップの幅は、ドレスシューズとしてはやや太めですね。
淵にはダブルステッチが施されています。
先端は四分円型で、スマートなデザインです。
バックルも若干大きめですね。
とはいえ、フレーム幅は細く、角に丸みのあるシンプルな長方形で、ボリューム感は抑えられています。
ノルベジェーゼ製法によるコバや、ヴァンプのスキンステッチといった、控えめながらもインパクトのあるデザインが採用されているので、このくらい力強い印象のストラップ&バックルでもバランスは良いように思います。
総じて、どっしりとした貫禄が生まれ、クラシックなイタリア靴らしい雰囲気となっていますね。
ところで、このようなバランス・・・以前もあったような・・・。
『EDWARD GREEN』の「CLAPHAM」!
「ASHBY」をアップデートさせた件でしたね。
後ろ姿
ヒールカップの丸みが綺麗に表れていますね。
ややどっしりと、大きめでしょうか。
ヒールには市革が当てられています。
裾が広く、徳利のような(!?)デザインですね。
ヒールのコバは少し出ていますが、ダブルウェルトという訳ではありません。
ヒールブロックの高さは抑え目で、低く安定感のある印象です。
ソール
前述しましたが、底付けはノルベジェーゼ製法です。
アウトソールはダブル?シングル??レザーソールです。
ノルベジェーゼ製法でも、コバが張り出していても、
ソールの厚みは抑えられています!
カジュアルな仕様ですがドレス感もありますね。
そして気になるソールの色ですが、
「ノーブル・ブルー」では無いですね。
感想
現代的なフォルムに、ノルベジェーゼ製法やスキンステッチといった手間隙をかけた作りですので、高級靴でしょうね!!
イギリスやフランスの超高級既製靴と対峙する位置づけでしょうか。
そして、貫禄のある雰囲気はやはりクラシックなイタリア靴の流れを受けているように思います!
今回はここまでです。
ではでは。