こんにちは。
今日は晴れましたが、そこまで暖かくはならなかったです。
今週はグーんと寒くなったように思いますね。
前回の続きです。
パラブーツのマネージを取り上げています。
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ソール
まずはコバの辺りを見てみましょうか。
コバの上を走る出し抜いのステッチはコバと同色でほとんど目立ちません。
その代わりと言ってはなんですが、
アッパーの縁を白っぽいステッチが走っていますね!?
「ノルヴェイジャン製法」です!
登山靴に用いらてきた製法で、大変手間の掛かる製法だそうです。
パラーツの歴史の中で、二代目の頃に登山靴に相当力を入れていましたから、いわば得意分野でしょうね。
実際、パラブーツも「Parabootはノルヴェージャン製法の世界的リーダーです。」と宣言しています!(自信)
今回のマネージがそうですし、人気定番製品のシャンボードやミカエルなどもノルヴェイジャン製法がとられていますね。
そういう意味でも、最もパラブーツらしい底付けの製法ではないでしょうか!!?
それでは、ノルヴェイジャン製法ってどういうの?
それを文章だけで説明するのは、、、ちょっと難しいです。
何か良い資料がないかなぁ〜〜と探していたら、
分かりやすく説明されている記事を見つけました!(感謝)
Les montages Goodyear et Norvégien : des cousus main pour des chaussures robustes. - Hardrige
グッドイヤーウェルト製法と基本的には同じプロセスのようで、違いはウェルトのレイアウト方法だそうです。
グッドイヤーウェルト製法から。
まず、インソール裏に接着したT字型のリブ(水色)とアッパー(オレンジ色)とウェルト(黄緑色)が掬い縫いされていますね。
イラストの右側の拡大図ですが、インソールとリブが区別されていないような・・・??
こちらの画像が分かりやすいでしょうか。
リブテープがはっきり見えますね!
次に、その縫い合わせをアッパーの下側に押し込むようにして隠し、ウェルトとアウトソールのコバを出し抜いしていますね。
だから、コバが張り出して、その上に出し抜いのステッチが1本走っているのが見えるのですね。
ではノルヴェイジャンはというと・・
インソール裏に貼られたリブ(水色)とアッパー(オレンジ色)とウェルト(黄緑色)が掬い縫されているのはほぼ同じです。
ただ、ウェルトの折り返し方が違いますね!?
掬い縫いの縫い合わせが外側に現れるように折られています!
その為、アッパーの上にウェルトの革が重なっているのが見えて、アッパーの縁にステッチが走っているのが見えるのですね。
ん?? どこかで似たようなディテールを見たような・・・
そう、オールデン975の時に触れた「スプリットウェルト」や「リバースウェルト」です!
スプリットウェルトの方は、飾りステッチが入ると一見ノルヴィジャンのようにも見えますね!?
まさにオールデン975がそうです。
ただし、あくまで飾りステッチであって、実際にアッパーやリブと掬い縫いされているわけではありません。
掬い縫いはグッドイヤーウェルトと同じです。
リバースウェルトの方は、ノルウィージャンと構造的には同じようです。
掬い縫いを機械で行うのがリバースウェルト、手で縫うのがノルウィージャンとの事。
話を戻しますね。
掬い縫いの次は、ウェルトとアウトソールが出し抜いされます。
そこはグッドイヤーウェルトと同じですね。
なお、上のイラストではアッパーも外側に折って、ウェルトとアウトソールの間に挟んで出し抜いがかけれていますね!??
でも、これだとオールソールの時にアッパーにダメージが生じないのかなぁ??
この点、アッパーも出し抜いされるか否かはメーカーによって違うようです。
パラブーツの場合はどうなんでしょうね??
オールソールをした画像とかあれば分かるかも・・・
と思って探してみたのですが、はっきり分かるものがみつかりませんでした。(沈)
動画を見つけたので、凝視して推察すると、、、
たぶん分厚いウェルトだけでアッパーは出し抜いされていないかと、、、
たぶんです、たぶん。
作る職人さんと直す職人さんは知っている。
いづれの製法でも、アッパーが直接アウトソールに縫い合わされるのでは無く、
ウェルトを介して縫い合わされますね。
それにより、ウェルトとアウトソールの出し抜いの糸を切れば両者を分離する事ができるようになり、アッパーを痛めずにオールソールが出来ます。
つまり、ソール交換をして長く履き続けるのに適した製法ですね。
また、インソールの下にT字型のリブ(テープ)が貼られるのですが、インソールとミッドないしアウトソールとの間に突起分の高さに相当する空間が生じます。
そこにコルクを詰める等して埋めるのですが、かかる中物のおかげでクッション性が向上したり、フットプリントが形成されたりして履き心地が良くなります。
その上で、
ウェルトの折り返し方の違いによって、見た目と機能性にも違いが生じます。
グッドイヤーウェルト製法は、出し抜いのステッチが表に表れるだけですので、ドレスシューズに採用できる見た目の美しさを保てます。
ノルヴィジャン製法は、掬い縫いのステッチもアッパーの縁に表れてしまいますので、見た目は派手目に、カジュアルになりますね。そして、アッパーとコバの間がウェルトで蓋をされる形となるので防水性などに優れます。
今回はここまでです。
ではでは。