こんにちは。
今日は曇りと晴れを行き来し、パラっと降るような降らないような、
煮え切らない(?)天気でした。
どちらかに激しく振られるよりは過ごしやすいですけどね。
前回の続きです。
ラスト202の美について、引き合いに出されることの多い『ポルシェ』のデザイン哲学にも触れながら書いています。
すなわち、装飾からでは無く、機能から導かれる形態や構造を追求するデザインと言えるでしょうか。
ラウンドトゥ
膨らみ過ぎず尖り過ぎない、穏やかなラウンドトゥです。
クラシカルなイメージの強いラスト202は、トゥの丸みがやや大きいイメージがあるかもしれませんね。
前々回書きましたが、
ラスト202は足に無理無くフィットして履き心地の良さを生み出すインサイドストレート&アウトサイドカーブという特徴があります。
加えて、ボールジョイントをしっかり確保していますので、アウトサイド側はやや張り出しています。
そして、ノーズ長は中庸ですので・・・トゥの丸みが大きくなるのが普通ではないかと思います。
でも、実際にはそこまでぽってりしていませんよね。
履き心地を重視する事で左右対称の美から外れていくところをいかに調整するか、
そのギリギリのバランスを追求しているのがこのトゥではないでしょうか。
ラスト202のトゥの重心はセンターより若干インサイド寄りではあります。
つまり、左右対称の美からは僅かに外れていますね。
ここでまじまじと自分の足を眺めているのですが、
僕は「ギリシャ型」らしいので第二趾が若干長いかなぁ。
他にも「エジプト型」とか「スクエア型」とかありますが、
中央の第三趾が一番長い人っています??
つまり、人の足はそもそも左右対称では無いのかなと。
あくまで片足の話ですので内側と外側が対称という意味です。
人体は右足と左足が対称関係にある訳ですが、
美しい靴という意味においては片足の中でもできるだけ美しいバランスを追求したい訳です。
という事で、トゥの重心を無理にセンターに寄せようとすると・・・
トゥの丸みが大きくなるのではないかと思われます。
そうなるとエレガントさが弱くなりますよね、、。
または、インサイドからのカーブを強くする手もありそうですが・・・
それでは足指が圧迫される危険が、、。
そのため、インサイドからのカーブをできるだけ取り入れつつ、アウトサイドカーブをしっかり利かせて、ドレス感のあるラウンドトゥを生み出しているのだと思います。
そのアウトサイドカーブからラスト202の印象的なフォルムが生まれていると思います。
サイドライン、ヴァンプ
まずはサイドラインですね。
張り出したボールジョイントからトゥへの鋭角なラインはシャープな一面を見せています。
またウエストへ絞られていくラインも引き締め効果が生まれていますね。
また、ボールジョイントの張り出しはヴァンプの幅に繋がっています。
このゆったりとしたヴァンプから適度な重量感や安定感を感じます。
コンパクトなフォルムでありながら、風格や貫禄が感じられるのはラスト202の特徴であり魅力だと思います。
個人的には、ポルシェのボンネットを思わせる箇所ですね。
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このボールジョイントのボリューム感とバランスをとるように、
実はトゥにも適度なボリューム感があります。
光の当たり加減で凹凸しているように見えますが・・。(苦笑)
ぽっこりと全体的にボリューム感を持たせるのでは無く、
きちんと引き締めた上で少し重みを足した感じでしょうか。
ここが膨らみ過ぎると野暮ったくなってしまいますし、
抑え過ぎると悪目立ちしてしまいます。
幅のあるヴァンプの重量感と調和しつつ上品さを損なわない、見事なバランスだと思います。
足に無理無くフィットして履き心地の良さを生み出すインサイドストレート&アウトサイドカーブは機能から導かれたフォルムと言えるでしょう。
ただし、左右対称の美からは外れてしまいます。
ここでポルシェのデザイン哲学を思い出すと、
「一つ一つの要素が機能を持ち、それを前面に押し出す」
という言葉がありました。
そしてラスト202を見直すと、アウトサイドカーブを前面に押し出していますよね!
そこからメリハリの効いた引き締まったフォルムによるドレス感や風格が生まれ、ラスト202の個性となっています。
そこに装飾的なデザイン、いわば過度なデザインが入らないように抑制も効いているように思います。
それがドレスシューズとしての上品さに繋がっています。
左右対称の美に無理に寄せるのでは無く、機能を前面に押し出す事で見えてくる美が磨き抜かれていますね!
今回はここまでです。
ではでは。