前回の続きです。
伊勢丹限定の「WESTBURY」を取り上げています。
Church's WESTBURY 73 Cordvan
現在インラインでは展開されていない往年の名ラスト73が使われ、
ホーウィンのシェルコードバンが使われています。
ラスト73でコンディションの良い「WESTBURY」を探す事が難しいでしょうし、
シェルコードバンとなると・・・ヴィンテージでも無いかもしれませんよね。
まさに特別な「WESTBURY」ですね!!
さて、
今回は「WESTBURY」の特徴的なディテールのアレについてです!!??
大きめのバックル
現行173ラストの時にも書きましたが、
「WESTBURY」のデザイン的な特徴として大きめのバックルが挙げられます。
この点、173ラストの「WESTBURY」の回の最後にご紹介した『輝けライフ!』さんの記事にもあるように、バックルの大きさはいずれのラストでも同じです。
ラスト173よりノーズの短い、コンパクトなフォルムのラスト73に対してですから、本靴の方がバックルはより大きく感じますね!
もちろん、「WESTBURY」が誕生した1970年当時のラストは73です。
ですので、オリジナルの姿に近いのは本靴の方ですよね!
あらためて本靴を眺めていると、大きなバックルには装飾的な意味合いもあるのではないか・・・
僕の妄想が広がり始めました。(笑)
70年代ファッション
1970年に誕生したモデルという事で、
その頃のイギリスファッションについて書かれた記事を読ませて頂きました。(感謝)
70年代メンズファッションとは?1970年代スタイルの特徴をまとめて解説【アメリカ・日本・イギリス】 - SHALE(シャレ)
まずは、パンクロックの時代ですね。
当時不況の真っ只中にあったイギリス社会に怒りや不満を抱く若者たちに響いた過激なファッションです。
そして、フォークロアもです。
経済不況とともに環境破壊も社会問題としてあり、失われてしまった素朴な民族文化など過去への郷愁を表現したファッションとの事。
因みに、60年代後半から70年代にかけて、アメリカでは自由や平和、愛、解放感を表現したヒッピーがありました。都市部ではサイケが流行ったそうです。
その後、パンクへの反発から真逆のスタイルとしてニューロマンティックが誕生し80年代へ入っていきます。
これらは主にカジュアルな若者ファッションですが、時代のエネルギーを感じますよね!!(強)
70年代ドレススタイル
それでは当時のドレススタイル、つまりスーツはどのようなデザインだったのでしょうか?
こちらの記事を読ませて頂きました。(感謝)
スーツの流行り(トレンド)は?|1960年~2020年で見るスーツの文化・映画 – ENJOY ORDER!MAGAZINE
ストリートで人気となったヒッピーファッションの影響や、レディースのテイストを取り入れたテーラードスタイルが特徴との事。
代表的なデザイナーとしてサンローランの名前が挙げられています。
ジャケットは、肩のラインが弓のようにしなった湾曲を描いて、肩先が上にツンと立ち上がった「コンケープドショルダー」、ラペルが大きく、ウエストは絞られ、裾は広がっています。
パンツも、フレア気味です。
やはり時代の強いエネルギーを感じますね!(強)
そんな時代の勢いが「WESTBURY」の大きめのバックルにも現れているのかな、なんて妄想しています。(笑)
宮廷、装飾
他方で、
モンクストラップシューズの歴史の中に、17世紀から18世紀の宮廷装束がありましたよね。
そこにおけるバックルには装飾的な意味合いが大きかったのかなと想像されます。
その辺りをググっていて、こちらの記事を見つけました。(感謝)
華やかに着飾ったファッションとのバランスからでしょうか、
バックルも目立つものが使われています!!
ラインストーンやクリスタルなどの煌びやかな装飾、
フォルムも複雑で、
サイズも大きめですね。
富の象徴としての意味合いがあったそうなので、まさに装飾ですよね!!
あ・・!
前回ご紹介した伊勢丹メンズシューズのインスタグラムにポストされた『Manolo Blahanik』のメンズシューズ。
その中に、甲の上に大きなバックルが付いたスリッポンもありますよね!!?
「CARLTON」というモデルです。
楽天ではユーズドしか見つかりませんでした。
甲の上に配された大きなバックルは、まさに装飾デザインですよね!
宮廷文化ではドレスシューズとして通用しましたが、
現代でドレスシューズとして履くのはちょっと難しい・・ですよね。
でも、シングルモンクであれば現代のドレスシューズとして通用できます。
その中で取り入れられる装飾的なバックルデザインを考えると・・
「WESTBURY」のような少し大きめのバックルは1つの模範解答ではないでしょうか!!?
こうしてみると、煌びやかな装飾デザインは、
昔はメンズのドレススタイルだったのに、現代ではレディースのドレススタイルとなり、
現代のメンズでは、
シンプルで控えめなデザインがドレススタイルで、
煌びやかな装飾デザインはむしろカジュアルスタイル、
でしょうか。
価値観がガラッと変わったのですね。
でも、最近はジェンダーレスの影響からかメンズにも再び煌びやかな装飾デザインが見られるようになってきたでしょうか。
その流れが今後どうなるのかは分かりませんが、ひょっとしたらひょっとするのかなぁ??
ではでは。