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キャップトゥダービーで! (142)VASS パンチドキャップトゥダービー (C)ハンドソーン

 こんにちは。

 今日も晴れました。

 今冬は乾燥気味なのかなぁ・・?

 手が少しカサカサするような気がします。

 手洗いとか消毒とかのせい??

 

 前回の続きです。

 ハンガリーブダペストの靴ブランド『VASS』のキャップトゥダービーを取り上げています。

VASS パンチドキャップトゥダービー


 

 ユーズドで、サイズは43です。

ダービー(外羽根)

 クォーターの革の切り返しがあります。

 羽根の付け根から後方へカーブを描きながら落ちていくカットラインです。

 オーソドックスなダービーデザインを踏襲していますが、

 ウエストより更に後ろ、ヒールに届いたところまで長く伸びるカーブは

 さり気なく特徴的なデザインですね!

 

 ここのステッチは少し間隔が開いたダブルステッチです。

 ダービーという事もあってややカジュアル寄りなデザインが採用されていますが、

 離れ過ぎない間隔と細やかなステッチで、カジュアル感は抑え気味な印象ですね。

 

 

 羽根もチェックします。

 5アイレットで、内鳩目です。

 オックスフォード(内羽根)のドレスシューズと同じ仕様で、

 ダービーでもカジュアル感が抑えられた印象ですね。

 

BEAMS Online Shop

 

底付け

 『VASS』が高く評価されているポイントとして、ハンドソーンウェルテッド製法が挙げられます!

 

 この点、今では高級靴の代名詞とも言えるグッドイヤーウェルト製法ですが、ハンドソーンウェルテッド製法を改良して機械化し、大量生産できるようにした製法です。

 つまり、ハンドソーンウェルテッド製法はグッドイヤーウェルト製法より手間がかかるという事ですね。

 もちろん、単に手間がかかるだけではありません。

 手間をかける事で履き心地の良さが得られるのです!

 ポイントはリブテープ!?

 

 ここで、両製法について解説されている記事を見つけました。(感謝)

kusumin.com

 ハンドソーンウェルテッド製法の図を拝見すると、

 厚みのある中底の下に切り込みを入れて溝を作り(「ドブ」と呼ぶそう)、

 その溝からアッパーとウェルトをすくい抜いしていますね。

 このドブを作る工程と掬い縫いの工程に職人の手仕事が必要となるのでしょうね。

 

 グッドイヤーウェルト製法の図を拝見すると、

 中底の下にリブテープと呼ばれるパーツが接着されていますね。

 そのリブテープとアッパー及びウェルトがすくい抜いされています。

 ハンドソーンウェルテッド製法の溝の代わりにリブテープを使う事で、接着剤やミシンが使えるようになったのでしょうね。

 そうする事で生産効率が上がり、量産できるようになったのでしょう。

 

 で、リブテープです。

 リブテープが垂直に入る事でソールが反る時にテンションがかかるからでしょうか、

 リブテープを使う事で生じる空間をコルク等の中物で埋めるのですが、それが反りを妨げるからでしょうか、

 リブテープの存在がグッドイヤーウェルト製法のソールの反りが硬い理由として挙げられます。

 これに対して、ドブだけであればそうした弊害が生じませんね。

 

 という事が、ハンドソーンウェルテッド製法の評価が高い理由だと思います。

 

 そして、『VASS』ではウェルトとアウトソールの出し抜いも手仕事で行われれているそうです。

 したがって、十分仕立てやフルハンドと呼ばれます。

 これを行うのはビスポークシューズくらいと言われ、既成靴では非常に珍しいです。

 やはり相当な手間隙がかかるのでしょうね。

 『シルバノ・ラッタンジ 』もフルハンドで作られていたと記憶していますが、その分価格もかなり・・・。

 『VASS』が凄いのは、フルハンドでありながらグッドイヤーウェルト製法で作られるイギリス等の超高級既成靴ブランドと同価格帯以下という点です!

 とはいえ、ブランド力が上がってくるにつれ生産数も追いつかなくなってくるでしょうから、価格も比例して・・・。

 そもそも、フルハンドで作れる職人を維持する事も簡単ではないと想像されます。

 諸々考えても貴重な靴ですね。

 

 因みに、出し抜いだけはミシンを使う場合もあり、九部仕立てと呼ばれています。

 『エンツォ・ボナフェ』が有名ですよね。

 

 

アウトソール

 ユーズドなので少し削れていますが、 

 『VASS』のレザーソールはドイツのレンデンバッハ製オークバークソールが使われている事で有名です!

 伝統的な製法で1年近くかけて作られる高級レザーソールですね。

 

 例えば、こちらのショップではレンデンバッハでオールソールをして頂けます。


 

 通常のオールソール(レザー)料金に加えて、レンデンバッハ仕様の追加料金がかかります。

 つまり、他のレザーソールとは違う、特別なレザーソールなのです!

 既成靴ブランドですと、高級靴ブランドのもう1つ上の超高級靴ブランドで使われるソールですね。

 その価格帯のブランドの中で『VASS』は価格を抑える事が出来ていると言えますね。

 

 逆に、近年はブランド価値を上げるためにこのソールを使う中価格帯のブランドもちらほら見かけるようになってきたでしょうか。

 コストパフォーマンスの良さを謳う靴ブランドですね。

 

 アッパーでは無く、ソールで高級感が認められる稀有なブランドがレンデンバッハですね!

 

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感想

 現代的なノーズ長のスマートなフォルムで、ダービーでもドレス感のあるデザインですので、オンオフ兼用できそうですね。

 東欧靴の特徴的なトゥシェイプがイギリス等の有名な西欧靴ブランドとの違いを醸し出していように思います。

 上質な素材を使い、ハンドソーンウェルテッド製法で作られながらも現実的な価格を実現している貴重なブランドですね。

 ただ、、年々価格が上がっているようですので・・・。

 

 今回はここまでです。

 ではでは。

三越伊勢丹オンラインストア


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