こんにちは。
今日も曇り気味で、暑さはそこそこまででした。
ただ、、湿気が・・・。
前回の続きです。
『クロケット&ジョーンズ』の「PEEBLES」を取り上げています。
現在のテーマであるキャップトゥダービーだから、という事もありますが、
アッパーに使われている「RUSSIAN GRAIN」という特別な革の魅力もあって取り上げています。
とはいえ、現在は「DISCONTINUED」となっていて、なかなかお目にかかるのは難しそうですね、、。
しかし、「SPECIAL ORDER」は受け付けているようなので、ひょっとしたらどこかのショップで!?!?
さて、本国サイトの商品説明を拝見していると、興味深い記述がありますね!
まずは「imitation straight cap」です。
すなわち、トゥキャップは無くて、プレーントゥにステッチだけが施されているという事ですよね。
・・という事は、厳密にはキャップトゥでは無いのかな??(焦)
でも、デザイン的にはキャップトゥなので!!
キャップトゥダービーに入れて良しとしましょう。(苦笑)
そして、デザインに関して、
「inspired as a Goodyear-welted version of 'Veldt'」
とあります。
どうやら「Veldt」というモデルからインスパイアされたデザインのようですね。
ググったところ、こちらの記事を見つけました。(感謝)
掲載されている靴が「Veldt」との事。
どうやらVeldtschoen製法と関係があるようです。
防水性能に優れた製法だそうで、グッドイヤーウェルト製法に代わって時折見られるようです。
「Peebles」の記述に「Goodyear-welted virsion」と書かれていたのもこれとの関係からでしょうね。
Veldtshoen製法についても、イラスト付きで丁寧に説明されていますね。(感謝)
グッドイヤーウェルト製法との違いは、コバ(ウェルト及びアウトソールの出っ張った部分)付近のアッパーの扱いです。
Veldtshonen製法ではコバのところでアッパーとライニングが分かれていますよね。
そのアッパーがコバの上に被さり、その上から出し抜いのステッチがかけられています。
ライニングはグッドイヤーウェルト製法と同じくコバの内側下に入り込んでリブテープ及びウェルトと掬い縫いで繋げられています。
アッパーの革でコバまで覆われる事によって隙間が無くなり、水の侵入を防ぐのですね。
しかし、この製法には弱点もあります。
それはグッドイヤーウェルト製法の利点となっているポイントでもあります。
すなわち、コバの上に出ているアッパーはダメージも受けやすく、リソールする際にはアッパーの状態次第という事が起こりうるようです。
その点、グッドイヤーウェルト製法であればアッパーの下部は外に出ないのでダメージも受けずらいですよね。
そして、革についても興味深い記述がありますね!
「Zug(grained)leather」です。
Zugといえば、Tricker's等でも見かける革ですよね。
どうやらスイスのZugという町に由来しているようです。
耐水性を高め、摩耗にも強い特別な鞣し方法が採用されています。
比較的硬くて厚みもありますね。
見た目が似ている革として「scotch grain leather」と比較されています。
「Zug」の方が粒々の凹凸がしっかりしていますね。(学)
掲載されている「Veldt」は、フットベッドにある古いロゴデザインから考えても、50年くらい前のものだそうです。
デザインにも興味深いディテールが見られます。
特にトゥのステッチは、1つの大きなステッチがあり、両脇を小さなステッチで挟まれたようなデザインになっていますね。
つまりトリプルステッチなのですが、手の込んだ仕事ですよね!
そして、「faux toecaps」との事で、イミテーションキャップトゥですね。
筆者のお気に入りポイントとして、『エドワードグリーン』の「Galway」にも見られる、サイドの「dovetail seem」を挙げておられます。
ロングヴァンプのサイドラインで、弓形型のカット&ステッチラインの事ですね。
このデザインは他のメーカーの多くのVeldtshoenダービーシューズにも見られるようです。
おそらく、元の歴史的なモデルのデザインを反映しているのではないかと。
更に、サイドラインにも「Veldt」の特徴的なデザインが見られます。
まずは、先ほどのイミテーションキャップトゥのトリプルステッチと同じステッチが施されている点ですね。
そして、クォーターの革がヴァンプの革の上に被さる構造になっている点です。
因みに「Galway」はヴァンプが上です。
タンはいわゆる袋状の構造で、折り畳まれて両羽根の内側と縫い合わされています。
これも防水性のためですね。
出し抜いのステッチはやや荒々しいですが、丈夫さ優先からでしょうね。
よく見るとダブルステッチです!
ラストは232、ウィズはEXとの事です。
「Peebles」に戻りますね。
イミテーションキャップトゥやサイドのラインデザイン、
カントリーシューズ仕様といった点からは、
確かに「Veldt」の影響を感じますね。
それを現代的にスマートに、
そして希少な「Russian Grain」を用いる事で、
新しい魅力を生み出していると思います。
おまけ
目の保養に、こちらの記事も拝見しましょう。(感謝)
2018年5月23日付けとなっています。
今回はここまでです。
ではでは。