こんにちは。
今日は冷たい雨でした。
気温もグンと下がって寒いかったですね。
慌ててニットを引っ張り出しましたよ。
先週のうちに準備しておけばよかった、、、。
前回は「ウイングチップ 」を始める前に、あれこれ書きました。
英国靴とイタリア靴を話題にしましたが、今回は米国靴が中心に来ますね。
だって「ウイングチップ 」ですから!
きっかけはこちらの靴。
CROCKETT&JONES CHEVIOT
ん???
クロケット&ジョーンズは英国靴でしょ!
確かにそうなのですが、デザインがちょっと変わっていませんか?
トゥキャップのウイングデザインの革の切り返しの両端が踵まで伸びたデザインですね。
あらためて、
フルブローグの冒頭でも触れたのですが、
あのデザインの靴には「ウイングチップ」という呼び名もあります。
むしろ日本では「ウイングチップ」の方が通じやすいのではないでしょうか!?
何を隠そう、僕も「ウイングチップ」の方がピンとくるタイプ!(笑)
実は、フルブローグのお話を書きながらやっと「ブローグ」という言葉に馴染んできたかなぁ、というくらいです。(苦笑)
書くって大切ですね!(開き直り)
話を戻します。
「ウイングチップ」というのは、爪先(tip)の革の切り返しが翼(wing)のような形をしているから名付けられたようで、主にアメリカ(と日本!)での呼び名です。
そして、アメリカ独自の呼び名があるという事は、
それだけアメリカで広く受け入れられたデザインという事なのでは!?(?)
その辺りについて、歴史を見てみましょう!
歴史
フルブローグのところでも書きましたが、
穴飾りの付いた靴は17世紀前後にスコットランドやアイルランドの湿地帯で暮らすケルト系ゲール人が生み出したようです。
そのデザインは19世紀末のイギリスで、カントリーシューズとして人気となりました。
因みに、トリッカーズでは現在のカントリーブーツのデザインに落ち着いたのが1920年頃とされていますね。そして、1930年には短靴(バートン)も存在していました。
1920年代、フルブローグは第一次世界大戦後の好景気で沸くアメリカへ渡り、大流行したそうです。
当初はワークブーツとして人気を博していたそうですが、その後アメリカ独自の進化を遂げました。
それが「ロングウイング」と呼ばれるデザインです!
トゥキャップの翼(Wing)の両端が長く(Long)踵まで伸びているからLongWingですね。
イギリス流のブローグという呼び名を使うと「アメリカンブローグ」です!
ブローグがアメリカ流だからアメリカンブローグという事でしょう。
つまり、
このデザインこそ正に、
「ゆゆU・S・A!」(懐かしいですか?笑)
いつ頃、どこのブランドから誕生したのか、
気になったのですが・・・
情報が見つかりませんでした。
とはいえ、
ロングウイングチップはアイビーファッションの1アイテムでもありますよね。
そのアイビーファッションが登場したのが1950年頃と言われていますから、少なくともその頃には既にあったのではないかと!?
この辺りの歴史をざっと見ていると、
20世紀初頭にヨーロッパで流行ったスタイルがアメリカへ渡ってブームとなり、
アメリカでアレンジされたスタイルがヨーロッパや日本へ広がってブームとなった、
という流れが見えてきますね。
モノと情報が海を渡って相互に影響を深めて行った時代ですね。
今は良くも悪くもそのスパンは非常に短くなりました。
そうそう、アメトラをチェックしていたら面白い文を見つけました。
英米によるトラディショナルファッションは明確に階級を意識した服装なのですね。なので、もともとは大衆に身近なスタイルでは無いのですね。
でも、日本にはこの感覚が無い!
だから皆が自由に着られるのですね。
そして、栗野宏文氏の視点も非常に興味深いです。
僕もここ最近、女性ファッション誌CLUELやFUDGEなどを見て驚いたのが、女性によるトラッドファッションでした。メンズとも繋がるアイテムや着こなしに関心を抱いたのですが、そこに女性の社会的意識の変化が現れていたなんて。マニッシュ、ユニセックス、ジェンダーレスと、男女差が無くなっていく流れの根底にある部分でしょうね。
話を戻します!
ロングウイングチップが元々どのような靴だったのかは未だ分からないのですが、
僕の目に入ってきたロングウイングチップはファッションと結びついた靴でした。
とうのも、アメリカントラッド(アイビー)やトム・ブラウンの影響が大きいから。
そのため、イギリスのフルブローグとは少し違った印象を持っています。
フルブローグはカントリーシューズの印象が強く、それはワークシューズに相当する位置づけでしょうか。
それと、スーツに合わせるようなドレスシューズの印象ですね。
もちろん、それぞれ別の靴になります。
バートン(トリッカーズ)とマルバーン(エドワーグリーン)のようなイメージですね。
これに対して、ロングウイングチップはワークとドレスの中間にあるような印象があります。
デニムにもセットアップにも合わせられるような。
まさにアメリカらしい着こなしで、アメリカントラッドですよね。(笑)
そんなアメリカのスタイルがヨーロッパへ影響し、
ヨーロッパで洗練され、
現代の装いに繋がっているように思います。
そこにはイタリアのファッションの功績が大きいように思うのですが、またいつか別の機会に。
今はカジュアルとドレスをミックスしたようなスタイルが普通になりました。
それってワークとドレスの中間のようですよね。
ロングウイングチップが得意とする分野です!(笑)
もちろん、英国靴も現代の装いに合う中間的な靴も作るようになってきましたよ。
そういう意味でも、ロングウイングチップは現代の靴の先駆けとも言えるのではないかと思います。
そんなロングウイングチップの名品を見ていきたいと思います。
今回はここまでです。
ではでは。