こんにちは。
今日は一際暑かったような...。
では前回の続きです。
フレンチトラッドをイメージするローファーとして『J.M.WESTON 180 SIGNATURE LOAFER』を紹介しました。
そんな中、久しぶりに『最高級靴読本 Vol.2』をパラパラしていたら、
ミッシェル・ペリー&クリストファー・デスクールCEOへのインタビュー記事がありました。
その中で「1968年学生紛争の時代、良家のお坊ちゃんがイギリスのカシミヤにジーンズ、トレンチとあわせ、着こなしに必須だったのがジェイエムウエストンの靴だった」という言葉がありました。(P105)
ウエストンがフレンチトラッドの代表ブランドであるというのは、こういう歴史もあるのでしょうね。
ところで、
フレンチトラッドなローファーと言えば、こちらも外せませんよね!?
JOHN LOBB LOPEZ
以前フレンチトラッドを想わせるUチップダービーについて書いた時に、JOHN LOBBのBARROSを取り上げましたね。
フレンチトラッドを代表するローファーにおいてもLOPEZは外せないと思います!
それは僕の個人的な好みというだけでは無く、もっと信頼できる情報もあるのです!!(苦笑)
「時代の証言者」という訳では無いでしょうが、
フレンチトラッドを実際に知る方が仰るのですから間違い無いでしょう!
当たり前ですが、当時も最高峰のローファーなのですね。
誰もが憧れ、いつかは手に入れたいと望む、ローファーの王者。
そして、名前に関係して抑えておきたいポイントもありました。
LOPEZという名前は、1950年にこの靴をオーダーしたアメリカの大リーガー、アキリーノ・ロペスに由来する、というのは有名な話ですね。
しかし、その靴はビスポークシューズだったと思われるとの事。
そして、既成靴のLOPEZはジョンロブパリがエルメスグループに入った後、既成靴の製造を始めた1982年以降の誕生です。
ゆえに、LOPEZはパリ(エルメス)の雰囲気があるのでしょうね!?
伝統的なイギリス靴とエルメス的なフレンチシックなデザインとが融合し、
長い年月が経っても品位が落ちない、
ベーシックだけれども個性がある、
奇跡的な名靴が誕生したのでしょう!
ロペスの品位を支える要素として、極上の革は欠かせないでしょうね。
他を圧倒する極上の革はジョンロブの特権でしょう!
そして、できるだけ継ぎ目の少ない靴にデザインされています。
それによって靴の美しさ、革の美しさが引き立ち、
足当たり、履き心地の良い靴となります。
アッパーのパーツは、サイド部分となる一枚革とヴァンプとサドルの3つくらい??
パーツが少なくなれば一枚あたりの面積が大きくなる訳で、一枚の革から取れるパーツ数は少なくなりますよね。
一足のために極上の革を惜しげもなく使うのですから、ジョンロブの靴が贅沢と言われる理由ですね。
因みに、公式オンラインショップのLOPEZの説明では、ライニングも1枚に裁断された革を使用している旨の記載があります!
ロペスの品位を支える要素として、丁寧な作りの良さも挙げられますね。
目に見えない1つ1つの素材についても上質に拘り、
裁断にも、成型にも、縫製にも、手間隙を惜しまない、
ジョンロブの品質ですね。
次に、ベーシックでありながら個性的な靴である要素について。
トゥはJMウエストンほど高さを感じる訳では無く、
どちらかと言えばオールデン寄りの低い感じでしょうか。
トゥ近くまで伸びる広いエプロンもJMウエストンやオールデンと共通するデザインですね。
ノーズも長くは無く、短くも無い。
つまり、全体的には王道のベーシックなローファーデザインですね。
そこにさりげなく個性を感じるのは何故か?
全体のフォルムを見ると、
オールデン986やウエストン180は横への広がりを感じますが、
ロペスは丸さがありながらもスラリとした縦のラインを感じます。
ざっくりとした僕の感覚ですが、
986は広く低く、180は広く高く、ロペスは長く低く、でしょうか。
ドレス感のあるフォルムはイギリスの影響でしょうかね。
そして、際立って丁寧なモカ縫いの印象もありそうです。
オールデン986のようなつまみモカ縫いでは無く、
180は革を斜めに梳いてから断面を合わせて山型にしたトライアングルモカですね。
それに対して、ロペスは山型では無く、コバが丁寧に処理されています。
ステッチも非常に細やかで美しいですね。
もちろん手縫いです!(技)
ピッチを大きくしてステッチ糸を見せたり、モカの革を厚くしたり、ギャザーを入れたりしてモカを目立たせる事で個性を表すデザインはありますが、
ステッチを目立たせないようにし、モカの革も厚みを抑えて目立たないようにしている事がモカの上品な美しさを生み、結果的に個性を表してしまうという凄さ!
そして、サドルに開けられた窓の形が楕円形です。
サドル及び窓の形というのは、ローファーの印象に大きく影響する場所だと思います。
言わば、ローファーの目??、のような場所ではないでしょうか。(笑)
ゆえに各ブランドはカッコイイ形を求めて意匠を凝らしていますよね。
そこをロペスは中庸なデザインとも思える楕円形でサラッと済ませてしまうのです。
「エルメスっぽい」とも言われるみたいですが、確かに!
限りなく中庸なデザインを限りなく上質な作りで表現する事で普遍的な美へ到達しようとしているように思います。
ロペスは究極の中庸なローファーであるがゆえに、究極のベーシックなのかもしれませんね。
フレンチスタイルのローファーについて考えてきましたが、クロケット&ジョーンズも作っていますよ!
一応断っておきますが、僕は別にクロケット&ジョーンズのセールスマンという訳ではありません。(笑)
ジョンロブやウエストンとなると価格帯もグンと上がりますので・・・。
クロケット&ジョーンズも今や結構な価格帯ですけどね。(苦笑)
CROCKETT&JONES GRANTHAM
丸さがありながらスラリとしたフォルムや合わせモカはロペスの、
サドルのステッチやカモメデザインの窓などは180ローファーの影響を感じます。
でも、グランサムはイングランドのランカンシャーにある町の名前。(笑)
CROCKETT&JONES RICHMOND
デザイン的にはグランサムとほとんど同じではないかな?
リッチモンドはアンライニングになっています。
フレンチスタイルのローファーでアンラインドは珍しいかも!?
でも、リッチモンドはアメリカのヴァージニア州にある都市の名前。
フレンチっぽいデザインのローファーとしてご紹介していますが、
名前はイギリスとアメリカですね。(笑)
アメリカ的なローファーとしてオールデン986を挙げたので、
広いエプロンとつまみモカ、サドルの窓の形がハーフムーン、という特徴から、
ボストンとハーバード
フランス的なローファーとしてJMウエストンの180とジョンロブのロペスを挙げたので、
広いエプロンと合わせモカ、サドルの窓の形がカモメ、という特徴から、
グランサムとリッチモンド
です。(笑)
王道のシンプルなコインローファーについてアレコレ書いていますが、
アメリカとフランスの代表的なローファーを比べてみても面白いものですね。
オールデンは多少不器用さがありつつも真面目な作り込みを感じますね。
コンフォートさが感じられるドレスカジュアルなローファーという印象です。
JMウエストンは綺麗で美しい作りに対する拘りを感じますね。
カジュアルでラグジュアリーなローファーという印象です。
ジョンロブは次回書くイギリスの伝統とフランスの美意識が融合した特別な存在ですね。
高貴なカジュアル感のあるローファーという印象です。
今回はここまでです。
ではでは。